今年も残りわずかとなりましたね。
そろそろ来年の干支が気になるころですが、2022年の干支は「壬寅」です。
よく「私は寅年生まれ」のような言い方をすることがありますが、寅は十二支の中の一つです。
本来は、十二支と十干を組み合わせたものを干支といい、2022年の干支はその組み合わせの39番目に当たる「壬寅」となります。

十干と十二支

十干も十二支も、紀元前の中国で考えられ日本に伝わったものです。
ふたつを組み合わせたものを干支(えと・かんし)といい、暦を表すために使われました。

十二支

十二支(じゅうにし)は、時間や月の順序を数える数詞として使われていました。
「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」と12種類の動物が当てはめられたのは、昔の人は字が読めないのが一般的で、覚えやすくするために動物と結びつけたからだといいます。

十二支は、アジアで広く使われているものですが、12の動物には少し違いがあり、中国や韓国では亥(いのしし)は豚のことを指し、タイやチベットでは卯(うさぎ)の代わりに猫が入っています。

日本では、十二支の由来としてさまざまな民話が語り継がれており、猫がネズミを追いかけることの理由や、犬猿の仲といわれるきっかけにもなっていますね。

十干

十干(じっかん)は、「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」と1日ずつ名前をつけ、10日ごとの区切りを一旬(いちじゅん)と呼び、3巡すると1ヵ月となります。
今も使われる、上旬・中旬・下旬という言葉はここからきているのです。

また十干は、すべてのものは「陰・陽」に分けられるという陰陽説と、「木・火・土・金・水」の5つの要素に分けられるという五行説が組み合わさった「陰陽五行説」という中国の古い思想と深いつながりがあります。

干支は古い言葉で「兄弟」という意味があり、陰陽説では「兄(え)=陽」「弟(と)=陰」になります。
「五行」の「兄」で「〜のえ」、「五行」の「弟」で「〜のと」という読み方になり、交互に繰り返します。

十干音読み五行陰陽訓読み
こうきのえ
おつきのと
へいひのえ
ていひのと
つちのえ
つちのと
こうかのえ
しんかのと
じんみずのえ
みずのと

十干と十二支を組み合わせた干支は60種類あるため六十干支(ろくじっかんし)ともいわれ、60年で一巡することから60歳のお祝いを還暦というのです。

ところで、十干10種類に十二支12種類を組み合わせるのだから120通りになるのでは?と思いませんか。
そこで、六十干支の数え方をご紹介したいと思います。
十二支に順番に十干を当てはめていくと、10通りの干支ができて十二支の「戌・亥」2つが残る。
次に、残った十二支の「戌」から十干の初めを当てはめていくと、今度は十二支が4つ残る。
こうして2の倍数でずれていき、十干の最後と十二支の最後が同時にきたところで干支が60通りとなり、一巡する。
十干と十二支、すべての組み合わせができるわけではないのですね。

干支はもともと、世の中の道理を知って備えるために考えられた暦ですが、干支に名式を当てはめて人の運命を占ったのが、算命学や支柱推命などの占術です。
2022年がどのような年になるのか気になりますね。

壬寅の意味

2022年は、十干が壬、十二支が寅の「壬寅(みずのえとら)」です。
「壬」の字には、はらむ(妊娠)という意味があり、植物の内部に種子が生まれた状態を表しています。
「寅」の字には、いん(動く)という意味があり、春が来て草木が生ずる状態を表しています。
これらを合わせると、2022年は「冬が厳しいほど春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれる年になる」ということです。

また、壬は自由を意味する海や大河を象徴し、寅は勇猛果敢な動物であり、決断力や才知を象徴しています。
この2つの性質を持った壬寅は、焦らずに決断できる、才能に恵まれたおおらかな人といえますね。

中国発祥の九星気学では、2022年は「五黄土星(ごおうどせい)」の年にあたり、九星のなかでも最強の運気をもつといわれます。
そこに勇猛果敢な寅のパワーが合わさるので、「五黄の寅」に生まれた人はとても強いパワーと強運の持ち主ということになります。

九星は9年に一度、十二支は12年に一度なので、五黄の寅年は36年に一度しか巡ってこないとても運気の高い年なのです。

意外と身近にある十干や干支

十干十二支は馴染みがない人も多いと思いますが、意外と身近なところで使われていたりするのでご紹介します。

契約書

契約当事者を「甲」「乙」と表し、正式名称を省略することで契約書を書く手間を省いています。

甲乙つけがたい

2つのものの優劣がつけられないときに使いますが、かつて学校の成績を評価するときに「甲・乙・丙・丁」が使われたことからきています。

阪神甲子園球場

高校野球の全国大会の舞台として知られていますが、甲子園が完成したのが1924年で干支が「甲子(きのえね)」でした。
「甲子」は、十干十二支の組み合わせの最初であり、縁起がよいと考えられていたために甲子園という名前がつけられました。

戊辰戦争

大政奉還後の処遇に不満を持つ旧政府軍と新政府軍が京都で衝突し、鳥羽・伏見の戦いに始まる日本最大の内戦が起きたのが、1868年「戊辰(つちのえたつ)」の年でした。

「なるほど〜」と思っていただけたでしょうか。

おわりに

干支についてお伝えしましたが、馴染みがないものでも本来の意味や由来を知るのはおもしろいですよね。

六十干支だと、寅年は「甲寅」「丙寅」「戊寅」「庚寅」「壬寅」の5つ。
来年は、寒い冬をじっと我慢し新しいものが生まれるという「壬寅」ですが、次にやってくるのは60年後です。
そう考えると、一年一年がとても大切に思えるのではないでしょうか。